42歳、会食で「タンニンが丸くなってきましたね」と言った先輩を見て、その夜に参考書を3冊注文した話

「――さっきより香りが開いてきましたね、タンニンも丸くなってきた気がします」
「あら、お詳しいんですね」
「いえいえ、そんなことは」
取引先との会食の席で、先輩と担当者の間でそんなやり取りが交わされた。自分は、「そうですね」しか言えなかった。

思えばその日も、料理が運ばれてくるたびに「美味しいですね」と言い、グラスが空けば注いでいただけだった。先輩が特別なワイン通だという話は聞いたことがなかったのに、グラス一つであれだけ場を転がせる。頷くことしかできない自分との差が、帰りの電車でやけに気になった。悔しいというほどでもない。ただ、あの一言を自分も言えるようになりたい、という気持ちだけがはっきり残った。

「今度時間ができたら」を飛ばした夜

いつもならそこで終わる話だった。「今度時間ができたら」と流して、翌週には忘れている。その日はなぜか、電車に乗った時点でスマホで「ワイン 独学 何から始める」と検索していた。

個人ブログを何本か読むうちに、ワインエキスパートという資格を知った。ソムリエは飲食業界での実務経験がないと受験できないが、エキスパートは業界と関係なく誰でも受けられるらしい。自分のような会社員でも挑戦できる、という一文を読んだところで、改札を出る前にはもうスマホで本を探し始めていた。品種と産地の入門書、一次試験の過去問集、テイスティング用語集。レビューの多い3冊をその場でカートに入れ、家に着くころには注文を確定させていた。こんなに即決で本を買ったのは何年ぶりか分からない。

「珍しく続いてるね」と妻に言われた2週間

本は2日で届いた。週末、リビングのテーブルに広げて、品種と産地の組み合わせを付箋に書いて壁に貼っていく。シャルドネはブルゴーニュ、リースリングはドイツ、テンプラニーリョはスペイン。ゲームのように楽しくて、日曜の夜までに50個近い組み合わせを覚えた。

「なにそれ、勉強してるの」
「ワインの資格、ちょっと取ろうかと思って」
「珍しく続いてるね」
妻にそう言われて、自分でも意外だった。通勤電車でも用語集を開くようになり、会食から数えて2週間ほどはこの調子が続いた。誰に強制されたわけでもないのに、これほど自分から時間を作ったのは久しぶりだった。

試験範囲の一覧を見て、手が止まった

きっかけは、一次試験の出題範囲を一覧で見たことだった。フランスだけで主要産地が十数カ所、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカ、チリ、日本まで含めると、覚える地名と品種の組み合わせは数百単位になる。直近2週間で覚えた50個は、そのごく一部でしかなかった。壁の付箋を見ながら、正直、心が折れかけた。

同じ週、会社では四半期末の締め処理が重なって残業が続いた。毎日2時間のつもりだった学習時間は、気づけば0分の日が何日も続いた。机の上の参考書は、しおりを挟んだ位置から動かなくなった。

キャンセルの電話口で、半分だけ返ってきた

追い打ちになったのが、独学の不安を埋めようと申し込んでいたテイスティングの一日セミナーだった。参加費は7,000円ほど、日曜の午前中に都内の会場で開かれる予定だった。ところが前日の土曜に急な取引先対応が入り、日曜も客先への資料作りに追われることになった。

電話をかけると、事務局の人はあっさりしたものだった。
「前日キャンセルですと、規定で半額のみのご返金になります」
「はい、それは仕方ないです……」
「よろしいですか」
「はい、大丈夫です」
それだけのやり取りで、3,500円ほどが無駄になった。固定の日時に予定を合わせる、それだけのことができなかった。品種や産地は覚えられても、決まった曜日・決まった時間に自分の身体を空けておくことのほうが、今の働き方では難しいらしい。参考書は、そこからさらに2週間ほど開かれないままだった。

「独学 挫折」で検索して見つけた記事

机の上の付箋を眺めながら、「ワイン 独学 挫折」で検索してみた。たどり着いたのは、合格者の体験談を集めたサイトだった。その中に、40代後半でレストラン勤務、独学でソムリエ試験に合格したという体験談があった。

その人が受けたのはソムリエ試験なので、飲食業で働いていない自分が目指すエキスパートとは受験資格からして別物だ。ただ、決まったスクールに通わず、仕事の合間を縫って独学で知識を積み上げたという部分だけは、自分がやろうとしていることと重なった。特別な才能や環境があったわけではなく、隙間の時間を積み重ねた結果として書かれているだけで、拍子抜けするくらい普通の内容だった。

足りなかったのは、やる気じゃなかったらしい

その体験談を読んで、ようやく自分の問題がどこにあったのか分かった気がした。やる気は最初の2週間、十分すぎるほどあった。途切れたのは、固定の曜日と時間に合わせて予定を組む、という部分だった。セミナーも、平日夜に決めていた2時間ルールも、仕事の都合で崩れた瞬間に丸ごと止まってしまう作りになっていた。

必要なのは根性を入れ直すことではなく、仕事の予定が急に変わっても続けられる形に、学び方そのものを変えることだと思った。

スマホひとつで完結する学び方

「ワイン エキスパート 独学 オンライン」で検索し直して、ヴィノテラスワインスクールというサイトに行き着いた。スマホとパソコンさえあれば、決まった教室に通わなくてもオンラインでいつでも受講できると書いてある。会場に足を運ぶ必要も、曜日を固定する必要もないらしい。3,500円を失ったセミナーとは逆で、こちらの都合で受講のタイミングを決められる、という点が、今の自分にはそのまま欠けていた条件だった。

合格を約束するようなことはどこにも書かれていなかったし、これで一気に挽回できるとも思っていない。ただ、2週間閉じたままだった参考書の隣に、スマホでこのサイトを開いたままにしておくことにした。その晩、しおりを挟んだままだったページから、1ページだけ読み進めた。壁の付箋はまだ50個のところで止まっている。それでも、決まった時間に縛られず、開けた隙間で少しずつ進める形にできれば、今度は四半期末の忙しさが来ても、ゼロには戻らない気がしている。

固定の予定を組むのが難しい働き方をしている人には、ヴィノテラスワインスクールのような、オンラインで完結する学び方が選択肢になると思います。

スマホ・パソコンひとつで、いつでもオンラインで学べる【ヴィノテラスワインスクール】

※資格の合格を保証するものではございません。
※オンラインで完結する講座です。
※本記事はPRを含みます。

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